皮膚科で多く来院される患者の症状が蕁麻疹です。
蕁麻疹は比較的よくある病気で全く珍しいものではありません。
15~20%の人は一生のうちに一度は経験すると言われています。
蕁麻疹の名前の由来
蕁麻疹(じんましん)と言うのは「イラクサ」(蕁麻)と言う葉に触れる蕁麻疹と同様の皮膚症状が出現するのでこの名前がついたそうです。
上記の写真がイラクサの葉です。
そもそも蕁麻疹とは??
(Wikipediaより引用)
皮膚の一部が赤く盛り上がり、時間の経過と共に跡かたなく消えてしまう症状の病気です。
※赤く盛り上がることは専門用語では膨疹(ぼうしん)と言います。
大半の患者さんは痒みを訴えますが、チクチクとした焼けるような痒みを感じることがあります。
蕁麻疹の特徴としては皮膚の赤みが数十分から数時間以内に跡形も無く消えると言うのが特徴です。(半日から1日くらいまで続くものもあります。)
膨疹の大きさは約1~2mmのものから膨疹が密集して手足全体を覆ってしまうものまであり、大きさはさまざまです。
一つ一つの膨疹が隣同士とくっついて皮膚のほとんどが覆われてしまうこともあります。
そして形も色々で、円形、楕円形、地図状などと表現されます。
どうして起こるの??
皮膚の表面には、外部の刺激から体を守る役目をしている角質層があります。
要するに皮膚の一番外側の皮膚のことです。
皮膚は何層にもなっていてそれぞれ役割を果たしています。
またこの何層にもなっている層のおかげで外界からの刺激から守られているのです。
角質層の下に表皮と真皮と言う皮膚の層があるのですが、
真皮にはヒスタミン(蕁麻疹の原因となる)を蓄えているマスト細胞と言う細胞が存在しています。
このマスト細胞が何らかの刺激を受けると、ヒスタミンなどが放出され、
このヒスタミンが皮膚の毛細血管に作用すると、血液成分が血管外へ漏れ出して皮膚に赤みやブツブツ(蕁麻疹の症状)を生じさせます。
また、皮膚に存在する神経に作用してかゆみを生じさせてしまいます。
蕁麻疹にはヒスタミンとマスト細胞が大きく関与していると言うことです。
蕁麻疹の原因は??
蕁麻疹にはアレルギー性のものと、非アレルギー性のものに分けられます。
アレルギーの仕組みにも様々なものがありますが、
蕁麻疹の原因として最も有名なのは「I型(即時型)アレルギー」と呼ばれるものです。
先ほど解説しましたマスト細胞にはIgEという蛋白質がくっついており、
このIgEが何かしらのアレルゲン(エビ、蕎麦、落花生など)に反応してしまうと蕁麻疹が起こります。
非アレルギー性の蕁麻疹では、
マスト細胞が他の仕組みで反応してしまうことにより起こります。
抗生物質や痛み止めなどの薬の中には
IgEを介さないでマスト細胞を活性化させるものもあります。
食べ物との関係は??
蕁麻疹を起こしやすい刺激・誘因として、食品、薬剤、物理的刺激などがあります。
一例を挙げます。
*食品⇨そば、エビ、カニ、果物など
サバ、イワシなどの青魚(魚肉が古くなりヒスタミンが産生される)
食品中の防腐剤・人工色素など
*薬剤⇨抗生物質、解熱鎮痛剤など
*物理的刺激⇨寒冷、温熱、日光など
*発汗⇨入浴、運動、冷や汗など
*その他⇨疲労、ストレスなど
誘因が明らかでない蕁麻疹
蕁麻疹の約70%も誘因が明らかではありません。
急性蕁麻疹は発症して1ヵ月以内のものを言い、
1ヵ月以上持続するものを慢性蕁麻疹と言います。
急性の蕁麻疹、あるいは何かの機会(ある物を食べた、運動後など)に一致して
時々現れるタイプの蕁麻疹では原因を突き止めやすいですが、
1ヶ月以上もの間、毎日のように現れては消えるタイプの蕁麻疹では、
ほとんどの場合は原因を明らかにすることができません。
要するに蕁麻疹の原因特定はすごく難しいことなのです。
蕁麻疹の治療法
第一に、原因となるものを避けることです。
エビを食べて蕁麻疹が出現するならそれを取り除く、または避けると言うこと。
そして第二に薬物療法です。
蕁麻疹にはヒスタミンが深く関係していることが多いので、
ヒスタミンの作用を抑えるために、抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬を使用します。
抗ヒスタミン薬は蕁麻疹の種類によらず効果が期待できます。
外用薬は多少痒みを軽減する程度であまり大きな効果は期待できません。
優しい作用のレスタミンクリームと言うかゆみ止めを処方することは時々あります。
いつになったら治るの??
ほとんどのものは、一度だけ現れる・再発しても1ヶ月以内に起こらなくなります。
一方原因のはっきりしない慢性蕁麻疹の場合は、原因を避けることができず、
何年も蕁麻疹の出現を繰り返します。
内服で症状はおさまりますが、止めれば再び症状が出るようになってしまうことがあります。
ですから長期間、薬を飲み続ける必要があります。
内服にて症状をコントロールしていくと、少しずつ薬の量を減らすことができ、
いずれは薬を中止できるようになる場合が多いです。
原因の分からない慢性蕁麻疹の場合は時間がかかると思いますが、薬と付き合いながら症状をコントロールする必要があります。
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